成果を引き寄せる「行動量」と「変数」の見極め方 ~数値化で教室を変える~

成果を引き寄せる秘訣とは・・・数値化の鬼を読んで  本と育児と先生のこと 

「なんでこんなに頑張っているのに成果が出ないの?」
「どれだけ行動しても、結果に結びつかないときはどうすればいいんだろう?」

教員の仕事をしていると、こんな風に感じる場面がありませんか?たとえば、授業の準備に力を入れたのに生徒の理解が深まらなかったり、保護者対応で精一杯になって本来の業務が後回しになってしまったり…。そんな時、なんとなく動くのではなく、行動量」と「変数」を見極めることが成果を引き寄せる鍵になります。

安藤広大さんの著書『数値化の鬼』では、仕事や業務を「数字」に落とし込むことで、成果を最大化する方法が解説されています。本記事では特に重要な「行動量を増やすこと」と「変数の見つけ方」に焦点を当て、教員の現場に応用できる具体的なヒントを紹介します。


行動量が成果を引き寄せる理由

行動量と確率の罠

「成功の確率を上げれば成果が出る」と考えるのは一見正しいように思えますが、実はそれだけでは不十分です。本書では、成功の確率を意識しすぎることで行動量(分母)が減り、結果として成果が伸び悩む危険性が指摘されています。

たとえば、ある教員が児童に向けた授業改善を目指していたとしましょう。次のような二つのアプローチを比較してみます:

  • 確率80%の営業:5回の提案で4件成功(行動量5)
  • 確率50%の営業:30回の提案で15件成功(行動量30)

確率80%の営業は効率的に思えますが、確率50%でも行動量を増やすことで、より多くの成功を得ることができます。成功確率に頼るのではなく、行動の「分母」を増やすことが成果を引き寄せるのです。

行動量を増やすために

目標達成に向けて行動量を増やすためには、具体的な行動計画を立てることが欠かせません。例えば、学力平均点を10点上げるという目標が設定された場合、どのように行動すれば良いのでしょうか?それは・・・

目標のための目標を決める

ということです。

学力平均点を10点上げるという目標だけでは、具体的な行動が分かりにくいです。そこで重要になるのが、「目標のための目標」を設定することです。目標達成には行動量を増やす必要があり、どの行動を増やすべきかを明確にするために、この「目標のための目標」を決めることが大切です。

例えば、「学力平均点を10点上げる」という目標に対して、授業で出題する問題数を増やすことを具体的な行動量として設定することができます。たとえば、1回の授業での問題数を10問増やすという目標を立て、どの時間帯にどの問題を出すかを計画的に決めることです。

こうすることで、「学力平均点を10点上げる」という大きな目標が具体的な行動に落とし込まれ、実行可能な計画として明確になります。

そして、授業が進むごとに、出題した問題数と生徒の学力の向上を比較してみましょう。それが次の「変数」の話につながります。


変数を見つける方法 ~成果を分解し「やるべきこと」を探る~

行動量が重要だとしても、やみくもに動くだけでは成果にはつながりません。そこで大切になるのが「変数」を見つけることです。変数とは、「成果を左右する要因」を指します。この変数を見つけることで、行動が結果に直結しやすくなります。

1. プロセスを細分化する

変数を見つける第一歩は、仕事のプロセスを細かく分けることです。たとえば、授業準備の一環として「平均点を10点あげるために授業で取り組む問題数を10問増やす」に取り組んでいる場合、次のようにプロセスを細分化できます:

  • 難易度や問題をさせるタイミングを考える(準備)。
  • 問題を実際に解いている姿を観察(行動)。
  • 授業後、児童の理解度をアンケートやテストを通して測定(評価)。

このようにプロセスを細分化することで、「どこを改善すれば成果につながるのか」が明確になります。

2. 「なぜ?」を繰り返す

細分化したプロセスをもとに、「なぜ?」を繰り返して行動を振り返りましょう。このプロセスでは、成功と失敗の両方を分析することが重要です。

たとえば、授業後のテストの正答率が悪かった時:

  • なぜテストの正答率が悪かったのか
    → 本時の内容を理解していなかった。
  • なぜ本時の内容を理解していないのか?
    → 問題を解いているとき、進みがよくなかった。おそらく問題の難易度が難しすぎた。

逆にうまくいった時も同様です:

  • なぜテストの正答率がよかったのか?
    → 問題の難易度やタイミングがよく、児童生徒の頭に内容がスッと入ったから。

成功・失敗の両方から「やるべきこと」が浮かび上がり、成果に近づく具体的な行動が明らかになります。

3. 環境や時代による変化を意識する

教員の仕事では、時代や環境の変化によって変数そのものが変わることがあります。たとえば、オンライン授業が一般化した現在では、「ICT機器を活用した授業準備」が新たな変数として浮上しています。オンラインツールを駆使することで、生徒の理解度や学習ペースを細かく追跡でき、授業改善の精度が高まります。


数字を活用して、感覚に頼らない判断を

「数字はすべてではない」とよく聞きますよね。「たしかに」と感じるかもしれません。しかし、本書で強調されているのは、数字を「無視してはいけない」ということです。

たとえば、学級経営の成果を「感覚」で判断していたとしましょう。ある先生が授業でタブレットをよく活用していて、「児童が楽しく授業に参加しているから、良い授業だ」と感じていても、実際にテストの正答率が下がっている場合、感覚だけでは問題を見落とす可能性があります。数字に注目すれば、テストの正答率の低下を早期に察知し、改善策を講じることができます。

数字は感覚的な判断を補完するツールであり、未来を変える手がかりになるのです。


まとめ:行動量と変数を意識して成果を上げる

教員の仕事は、成果が目に見えにくいからこそ、行動量と変数を意識することが大切です。この記事で紹介したポイントを振り返ると:

  1. 行動量を増やす:成功確率に頼るのではなく、行動の「分母」を広げる。
  2. プロセスを細分化する:成果を出すために必要な行動を小さく分解する。
  3. 変数を特定する:成功・失敗の原因を分析し、「やるべきこと」を明確にする。

これらを実践することで、授業づくりや学級経営、保護者対応など、あらゆる場面での成果が変わります。『数値化の鬼』を手に取れば、さらに深い学びが得られるはずです。あなたの行動が変われば、子どもたちの未来もきっと変わりますよ!

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