小学校で「避難訓練の担当」を任されたとき、多くの若手教員が感じるのは、不安とプレッシャーです。

訓練って何回あるの?

いつ、どんなふうに計画するの?当日の流れや準備ってどうするの?
初めての人にとっては、どれも分からないことだらけですよね。
しかも、火災・地震・防犯・引き渡しと、内容もさまざま。
安全が関わるからこそ、絶対にミスできないという緊張感もあると思います。
でも、大丈夫です!
この記事では、現役小学校教員として避難訓練の担当を何度も経験してきた旦那の実体験をもとに、
「1年間の仕事の流れ」「具体的な準備や進行方法」「計画時に気をつけたいこと」などを
丁寧に解説していきます。
読み終える頃には、避難訓練担当としての仕事の全体像がつかめて、
「これならやれそう!」と思えるはずです。この記事は、特に以下のような方におすすめです。
- 避難訓練担当になったけど何をすればいいか分からない人
- 小学校の安全指導や訓練の流れを把握したい人
- 若手や初任者でも安心して取り組めるヒントがほしい人
それでは、さっそく見ていきましょう!
この記事を書いた人
避難訓練担当の1年間の流れ
小学校で避難訓練の担当になると、年間でおおよそ4〜5回の訓練を計画・実施することになります。
訓練の種類によって、実施時期や内容が異なるため、見通しを持っておくことがとても大切です。
避難訓練は以下のようなタイミングで行われることが多いです。
- 【火災避難訓練】…4月または5月に実施する学校が多いです
- 【引き渡し訓練】…6月や10月など、保護者と連携しやすい時期に組まれます
- 【防犯・不審者対応訓練】…7月前後や学期末に計画されることがあります
- 【地震・津波避難訓練】…9月の「防災の日」前後に実施するケースが一般的です
年度当初に1年分のおおまかな予定を見ておくと、職員会議での共有や教職員の心構えにもつながります。
実際に旦那が担当していたときは、まず「過去の訓練記録」を確認し、校長や教頭と相談しながら内容の大枠を固め、職員会議に向けて準備を始めたそうです。
訓練の種類が多くて最初は大変に感じるかもしれませんが、1つ1つの訓練をざっくりでもいいので把握しておくと安心です。
後の業務もスムーズになりますし、職員間の連携も取りやすくなります。
見通しがあるだけで、「次は何をすればいいのか」が明確になります。
これを読んでいる今こそ、来年度の避難訓練に向けて準備を始めるチャンスです。先に動けば、それだけ心にゆとりが生まれますよ!
2.避難訓練の計画
避難訓練を実施するためには、まずしっかりとした計画を立てることが必要です。
きっちりとした計画を立てることで、職員間で動きが統一され、子どもたちも落ち着いて行動できるようになります。
避難訓練の計画では、以下のことを検討する必要があります。
- 訓練のねらい…「火災のときの避難経路を知る」や「不審者が来たときの身の守り方を知る」など、訓練の目的を明確にする
- 訓練の内容や進行…どこが危険(出火場所等)なのか、どこにどうやって避難するか、どこに集まるかなどを細かく想定
- 教職員の役割分担…避難誘導、教室の確認、報告係、放送係などを振り分けておく
- 避難経路の検討…各学年の避難経路が重なり、避難時間が伸びないよう工夫する
この計画は、職員会議の前に作っておきます。
そして、職員会議前に「訓練計画案」として管理職に提案(起案)し、了解を得てから、職員会議で訓練の説明や協議を行います。
旦那が担当していたときは、計画を作る前に「昨年度の実施記録」や「反省会のメモ」を必ず確認していました。
同じミスを繰り返さないようにすることや、改善点を活かすためです。
一人で悩まず、教頭や教務、学年主任と相談しながら進めると、スムーズに計画が立てられます。
また、事前に他の先生と話し合うことで、自分が気づかなかった視点が見えてくることもあります。
訓練の成否は、計画にかかっています。
しっかりと準備しておけば、本番でも落ち着いて対応できますよ。
3.避難訓練の準備
訓練の計画が決まったら、次は実施に向けた準備です。
準備がしっかりできていないと、訓練がうまくいかず、子どもたちにとって大切な学びの機会を失ってしまうかもしれません。
避難訓練の準備で押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
- 放送や非常ベルの動作確認
→ 音が鳴るか、放送が聞こえるかを事前に確認しましょう。(緊急地震速報なども) - 避難経路の確認と点検
→ 廊下や階段に物が置かれていないか、工事などで避難経路がふさがっていないかをチェックしておくことが大切です。 - 児童への事前指導を各担任にお願いする
→ 予告なしの避難訓練以外は、事前に避難の仕方を簡単に説明しておくと児童も安心です。各担任の先生に終礼などでお願いしましょう。 - 雨天の場合の対応を確認
→ 訓練当日が雨の予報なら、延期にするのか、教室内訓練に切り替えるのかを決めておくと慌てません。 - 訓練後の全体指導での話の準備
→ 避難訓練担当は避難が完了した後、全体指導を行います。その時にどのようなことを話すかあらかじめ考えておきましょう。なお、校長先生にも話をしてもらう場合は、内容が被らないよう事前に打ち合わせをしておくとよいでしょう。
全体指導で話すことは、「災害の恐ろしさ」と「対策」についてです。
火事なら火はもちろん、煙を吸うことの危険さと、屈んでハンカチで口をふさいで避難すること。
津波なら、過去の地震でどれだけの高さの津波が来たかを身の回りのもので伝え、高いところにすばやく避難することの大切さを話しましょう。
訓練の成否は、この準備にかかっていると言っても過言ではありません。
「前日までの確認」を忘れずに行い、当日に慌てることのないようにしておきましょう。
4.避難訓練当日の進行
いよいよ避難訓練の本番です。
この日は、準備してきた内容を実際に動かしていく大切な場面になります。
訓練の目的は「安全に、落ち着いて行動できるようにすること」。そのためにも、担当者は冷静に、そしてていねいに進行していく必要があります。
当日の流れはおおまかに次のようになります。
- 朝の最終確認
→ 各担当の先生にお願いをすると同時に、必要な持ち物や役割を再確認しておきます。 - 訓練開始の放送
→ 緊急放送の場合は「これは訓練です」と必ず伝えます。 - 避難の様子の確認
→ 廊下や階段、避難経路に立ち、子どもたちが安全に移動しているか、列が崩れていないかなどを見守ります。担任なら、自分のクラスを引率し、素早く避難します。 - 整列完了後の報告と指導
→ 各学級担任が人数を確認して本部に報告し、その後、校長先生と避難訓練担当から指導が入ります。 - 反省会や記録の作成
→ 訓練が終わった後には、反省を簡単に職員で共有しておくと、次回に生かすことができます。
旦那の経験上、当日は自分が動くことよりも「全体を見る意識」が大切です。
職員会議でそれぞれの役割を明示し、任せたところはしっかり任せましょう。
焦っていろいろ動いてしまうと、スムーズに進まないことがあります。
それでも、当日の進行は、想定どおりにいかないことも多いです。
でも、そこも含めて学びです。
「訓練」ですからうまくいかなくても大丈夫。訓練後に反省を各学年や各先生にしてもらいますので、その課題をしっかりといかし、もし災害が起きたときにきっちりと対応できるようにしましょう。
5.調査・報告対応
避難訓練担当の仕事は、避難訓練を実施するだけでは終わりません。
教育委員会や市町村から届く「調査」「報告」への対応も大切な業務の一つです。訓練の回数や工夫、課題などを求められることが多く、事前の記録が役に立ちます。
【主な対応内容】
- 教育委員会などへのアンケート回答 → 年に1〜2回、以下のような質問が来ることがあります。
- 「今年は何回実施しましたか?」
- 「どのような工夫をしましたか?」
- 「どのようなポイントを意識して指導しましたか?」
- 報告書の作成と提出 → 実施後の反省内容や、職員会議で出た意見をまとめることで、質の高い報告になります。さらに、記録写真を撮っておくとよいでしょう。
【よりよくするためのコツ】
- 日頃から「訓練実施記録」を残しておく
- 児童や教員の声を記録しておくと報告に厚みが出る
- 同じフォーマットで記録を残すことで、次年度も活用しやすくなる
調査や報告と聞くと少し堅く感じますが、児童の安全のために行った活動を「見える化」する大切な仕事です。
また、こうした情報が地域や次年度担当への信頼にもつながります。日頃の記録と準備を心がけて、余裕をもって対応できるようにしておきましょう。
避難訓練担当の仕事まとめ|今こそ準備を!
避難訓練担当の仕事は、単なる訓練の実施ではありません。
学校全体の安全を守るために、計画・準備・進行・振り返り・報告までを担う重要な役割です。
担当になったばかりの頃は「どこから手をつければいいのか分からない」と感じることもあるでしょう。
しかし、訓練の流れを把握し、事前準備をしっかり行うことで、落ち着いて進められるようになります。
✅ 避難訓練担当として押さえておきたいこと
- 計画ははやめに立てる → 訓練の見通しをもつこと、頭でシミュレーションしておくことが大切
- 準備は事前に入念に → 放送、避難経路、職員の役割をチェック
- 当日は冷静に進行する → 子どもたちは先生の様子をよく見ている
- 振り返りを記録に残す → 次年度の担当が困らないように引き継ぎを
もし今、避難訓練担当になって不安を感じているなら、今すぐに「過去の訓練記録」を確認することから始めてみてください。
記録を見返すだけでも、どんな流れで進めればいいのかが分かり、仕事の全体像がつかめるはずです。
安全対策に「後回し」は禁物です。
いざという時に慌てないために、今から準備を始めましょう!
また、ほかの校務分掌についても興味がある方はこちらの記事をチェックしてみてください。
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